看護のあり方については、看護師一人ひとりの価値観が異なるため、考え方も異なって当然です。看護観とは、看護師が業務に当たるうえで、指針となる価値観のことを指します。個人の信念や覚悟が内包されており、常に立ち返って自分の看護のあり方を確認するために欠かせません。看護師は、自分の信じる看護観に従って、業務に邁進することが求められるのです。

看護師養成学校においても、看護学生には看護観を構築するように指導が行われます。看護師として実際に医療現場で活躍する前に看護観を築いていないと、さまざまな傷病に悩まされる患者と向き合う際に、萎縮したり、躊躇したりしやすいからです。

また、医療現場では患者や他のスタッフとの人間関係に、想定以上のストレスを感じることもあるかもしれません。加えて、激務のために離職者が多いといわれる看護業界だからこそ、しっかりとした看護観を持つことが大切となってきます。しかし、しっかりとした看護観を構築することは容易ではないのが実情でしょう。そこで、実務経験を積みながら試行錯誤して、少しずつ看護観を築いていくのが堅実です。

看護学生の頃抱いていた看護観が、その後の実務経験を経て変容することもあるでしょう。それは当初の看護観が稚拙だったからではなく、その後の経験により、もっと高次の看護観に昇華したといえます。たとえ変わったとしても、常に看護の指針となる看護観があれば、逆境や失敗にめげそうになったときでも心の支えとなるでしょう。そうした中で、もし自分の看護観が迷子になるようなことがあれば、看護観とは?からヒントを得てみるのもいいかもしれません。